ビール造りと音

ビール造りのプロセスにおいて音は重要な役割を担っています。

仕込みの最中、酵母が糖分を食べて増殖してゆく段階で二酸化炭素とアルコールが生成されます。発酵が活発な間は麦汁が常にプツプツと泡立ち、発酵が終わりに近づくにつれ静かになってゆきます。このプツプツという音を聞くことによって酵母の調子、酵母の量、麦汁の糖度など様々な情報をくみ取ることができます。 (醸造士の中にはこの音を「酵母の声」と表現する方もいらっしゃいますが、まさにその通りかもしれませんね)

近代的なビール工場では雑菌による汚染を防ぐため、密閉したステンレスタンクの中で発酵させますが、木桶の中で発酵させる伝統的な手法をとる醸造所も存在します。麦汁が外気に触れるので、ビールが雑菌で汚染されるリスクは増えるのですが、蔵に住んでいる自然の酵母を取り込みそこでしか作れない味わいに仕上がります。

開放された木桶の中で元気に発酵する酵母の声は非常に心地よく、目を閉じて聞いているとまるで無数の酵母達の会話が聞こえてくるかのような、くすぐったくて愉快な気持ちになってきます。

ステンレスタンクの中で発酵させる場合も、余分な炭酸ガスがバルブから逃げる「シューシュー」という音が出ますので、ある程度酵母の状況を聞きとることができます。

熟練の醸造士は日々この酵母の「声」に耳を傾けながら、美味しいビールに仕上げるための調整を行っているのですね。

もしこの酵母の「声」を聴いてみたいというビール好きなあなた。ビール工場の無料見学会に参加し、場所とタイミングが合えば聴くチャンスに巡り合えるかもしれません。この夏休み、是非ご家族ご友人と共に訪れてみてはいかがでしょうか。

(笹)

テニスの打球音

錦織選手の活躍により、テニスが話題になる機会が増えました。
先日の全仏オープンでは、優勝はラファエル・ナダルでした。3年ぶりの優勝です。
錦織選手もグランドスラム、日韓初対決で「チョン・ヒョン」戦では雨に救われ、4回戦ではいきなり第1セットを0ゲームで取られたりとギリギリな感じでしたが、ベスト8まで行ってくれました!(拍手です)次はウィンブルドン、芝のコートです。

テニスのゲームをTV観戦している時、あの打球音がとても心地良いです。
特にトッププロのストロークの音、自分が打ってもあんな高い、きれいな音は出ません。200kmを超えるサーブを打つプロの人達のガットのテンションはきっと硬めでかつスイングが速いんでしょう。
ところで、テニスのゲームを目を閉じて聞いてみると、意外に試合の流れは分かります。サーブを打った、リターンを強打した、スライスで返した、打つタイミングが少し遅れたと感じるとそれは深い所に返したので、ボールの滞空時間が長かったのか、そんなことが分かります。「チョン・ヒョン」戦では20回以上ラリーが続いた時もありました。そんなラリー戦を耳で聞くのも醍醐味の一つです。

(鈴)

鳥の視点・虫の視点

圧倒的な量のデータを武器にしたグーグルなどアメリカ企業による自動翻訳技術の最近の進歩は目覚ましいものがあります。日本でも2020年には、訪れた外国人旅行者が言葉の壁を感じずに日本の”おもてなし”を満喫できる、そんな自動翻訳システムが漸く実現しそうです。日本の開発の歴史は意外に古く、今から約30年前、それがようやく実りつつあるということですね。

さて、英語との対比で言うと、特に日本語からの翻訳は難しいとされています。単純に言えば「あれはどうなった?」のように表現があいまいだったり、主語が全くなかったりするからですが、これら英語と日本語の視点の違いについて、言語学者の間では、昔から英語は、「鳥の視点」または「神の視点」、日本語は「虫の視点」と言われているとのこと。英語は、上から見下ろしている感覚で、自分も他人も、人間も物も同じように文法的に扱うが、日本語は、自分を一番下に置いて周りを見回すイメージで、自分と他人の関係は対等ではない。さらに、現在・過去・未来の時間軸も英語は全てを見下ろすのに対して、日本語は自分の注目している時点から見回す。つまり、英語の発想の根源は、「超越した神の視点で世界をすべて記述すべし」という理念であり、日本語の根底にあるものは、「虫のように自然に取り囲まれて生きており、共通の環境はわざわざ説明しない」という感覚、だそうです。

さて、上記を踏まえて、最近特に話題のAIについてですが、その開発においてもやはりアメリカを中心にして欧米でかなり進んでいるように思えます。が、一部の研究者から、「すべての情報を盛り込まなければならない欧米流、すべての情報を表現しようとする欧米流考え方は行き詰まり、環境を利用する日本的な世界観がDeep Learning(深層学習)と相性が良い」として、日本流が活かせる可能性が指摘されているそうです。いよいよ日本の出番でしょうか!?

(模)

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