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2016年8月

木材の違いによる音響特性

楽器で使用される木材には色々な種類があり、木材の種類によって楽器の音色に違いが出る事をご存知ですか?
バイオリンやピアノ、ギターやウッドベースに代表される楽器などがありますが、今回はエレキギターについて少し書きたいと思います。

「エレキ」ギターなんだから木材なんてなんでも良いんじゃないの?と思われる方も多いかもしれません。
ですが、実際には色々な木材を使ったギターが存在し、他の木材を使った楽器同様、各々木材の違いによる音響特性があります。

基本的な音響特性としては、

  • 固い木材ほど音の立ち上がりが早く、アタック感が強い。また、音の輪郭がハッキリしていて、高音と低音のメリハリがはっきりしている。
  • 柔らかい木材は音響的にも柔らかく、ウォームな音になりやすい。
  • 比重の軽い木材は低音の響きは少ないが、高音、中音域が埋もれることなく聞き取りやすい。

と言った具合です。

堅い木の代表としてはメイプル(楓)、ウォルナット(栗)など。
柔らかい木はポプラなどです。

上に上げた例はあくまで傾向であって絶対ではありません。
木材そのもののクオリティーや、気温や湿度などにも大きく影響されます。

是非色々な木材のものを自分の手に持ってみて、音を直接感じてみてください。

(雅)

精霊流し

お盆休みは長崎に滞在していました。
長崎では毎年8月15日に精霊流しが行われます。今回初めて、精霊流しを見ました。

初盆を迎えた遺族が、故人の魂を載せた精霊船を、家から決められた波止場まで運びます。
精霊船は木造で、大きいものでは10m以上あります。
現在は船を水に流すことなく、担いだまま道路を歩くのみとなっています。

波止場に着くまで、周囲で爆竹を鳴らし続けます。
これは中国文化の影響を受けているのでしょうか。
道路上には多くの人と車や路面電車が走っていますが、その付近で爆竹が鳴るのでびっくりします。
精霊船が去る度、道路に爆竹の残骸と火薬の臭いが集積します。

波止場付近で精霊流しを見物しました。ここに全ての精霊船が集まるため、鳴る爆竹の数もものすごいです。
四方八方から破裂音が聞こえるので、まるで戦場にいるかのようです。
騒音レベルを測るスマホアプリがありましたが、メーターを振り切ったため使い物になりませんでした。
体感的には、爆竹から3m程離れた位置で100~110dB程度あったと思います。
担い手は爆竹により近い場所にいたので、さらに+10dB程度に感じられたことでしょう。
これは電車の通るガード下や、飛行機のエンジンの近くと同じレベルです。このレベルの音を長時間聞き続けると、聴覚障害を起こします。
そのため、担い手は全員耳栓を付けていました。

余談ですが、精霊流しと言えばさだまさしさんの曲が有名です。
今年はさださんの母が亡くなられたため、佐田家の精霊船が出ていたそうです。

(祥)

音の臨場感

ただいま、オリンピックシーズンの真最中です。リオデジャネイロはもちろんそうですが、2020年の開催を控える東京も徐々に盛り上がってきています。
オリンピックの一つの楽しみ方は音に注目することです。各テレビ局は臨場感あふれる音を鮮明に記録し、我々に届けてくれます。

ところで、「音の臨場感」とはどういうことでしょうか。簡単にいえば、「あたかもその場にいる」かのような感じ方を表す表現です。
そこで重要なのは音の方向感です。ボールが右から飛んできたとき、音は左から鳴ってはいけません。視覚と聴覚が一致してはじめて空間認知がうまくいきます。

人間は両耳で音の方向を知覚します。耳の形は複雑で非対称であり、そのため音源から鼓膜までの音の経路は角度に依存します。我々は無意識に角度による特性の違いを学習し、音の到来方向を推定しているわけです。まるで精密機械のようですね。
角度に依存する音源から鼓膜までの特性は伝達関数として表すことができるため、工学的に測定したりシミュレーションしたりすることもできます。この分野はとても面白く、応用範囲も広がりつつあります。深入りしたい人には以下の書物をお勧めします。
Spatial Hearing (The Psychophysics of Human Sound Localization)

ただし、録音技術が進んでいるとはいえ、やはり現地で見たり聞いたりすることが一番ですね。2020年こそ楽しみです。日本がんばれ!

(桜)

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