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2017年8月

エコーロケーション

人間は左右の耳を使って、音の到達時間や音色の差を常に検知しています。左右の到達時間に1ミリ秒ほど の時間差があれば、大体の人は「方向感」を感じます。つまり、「右耳が先に音を検知した場合、その音はおそらく右側から来ている」ということを無意識にわかるのです。長い年月を経て進化したおそるべき能力ですね。

現代人はそういった能力についてあまり意識しません。しかし、左右のバランスと方向知覚は日常生活の一部 であることは間違いありません。例えば、片耳に耳栓をつけた場合、車の運転やその他の動作が困難になることは容易にわかります。左右のバランスがくずれ、音の到来方向がわからなくなるためです。

そういった左右の音の微妙な差を検知する能力をうまく活かす方法はないでしょうか。

実はこの能力が積極的に活用されている事例があります。それは「エコーロケーション」というものです。

『反響定位』について(Wikipediaの情報)

エコーロケーションというのは、口で音を発生し、その反射音をもとに周りの状況を把握するというテクニックのことで、一部の視覚障碍者により利用されています。

エコーロケーションをうまく利用するためには、なるべく広い帯域の音(周波数成分の偏りがない音、例えば 舌打ちのような音)を口で発生し、耳で多くの情報量をとらえることが必要です。

一般社会にも、人間による方向検知能力をより積極的に活用できるシーンが他にたくさんあるはずです。考 えてみる必要がありそうですね。

(桜)

ビール造りと音

ビール造りのプロセスにおいて音は重要な役割を担っています。

仕込みの最中、酵母が糖分を食べて増殖してゆく段階で二酸化炭素とアルコールが生成されます。発酵が活発な間は麦汁が常にプツプツと泡立ち、発酵が終わりに近づくにつれ静かになってゆきます。このプツプツという音を聞くことによって酵母の調子、酵母の量、麦汁の糖度など様々な情報をくみ取ることができます。 (醸造士の中にはこの音を「酵母の声」と表現する方もいらっしゃいますが、まさにその通りかもしれませんね)

近代的なビール工場では雑菌による汚染を防ぐため、密閉したステンレスタンクの中で発酵させますが、木桶の中で発酵させる伝統的な手法をとる醸造所も存在します。麦汁が外気に触れるので、ビールが雑菌で汚染されるリスクは増えるのですが、蔵に住んでいる自然の酵母を取り込みそこでしか作れない味わいに仕上がります。

開放された木桶の中で元気に発酵する酵母の声は非常に心地よく、目を閉じて聞いているとまるで無数の酵母達の会話が聞こえてくるかのような、くすぐったくて愉快な気持ちになってきます。

ステンレスタンクの中で発酵させる場合も、余分な炭酸ガスがバルブから逃げる「シューシュー」という音が出ますので、ある程度酵母の状況を聞きとることができます。

熟練の醸造士は日々この酵母の「声」に耳を傾けながら、美味しいビールに仕上げるための調整を行っているのですね。

もしこの酵母の「声」を聴いてみたいというビール好きなあなた。ビール工場の無料見学会に参加し、場所とタイミングが合えば聴くチャンスに巡り合えるかもしれません。この夏休み、是非ご家族ご友人と共に訪れてみてはいかがでしょうか。

(笹)

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