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2019年10月

音は情報のピース

先日、台風に備えて、家の浴槽に水を貯めました。しかし、貯めている最中に他のことに集中してしまい、時が経つのを忘れてしまいました。風呂場の方から「ザーザー」と、浴槽から水が溢れる音が聴こえてきて、慌てて水を止めに行きました。
この「ザーザー」という音が、浴槽を視界と意識から外してしまっていた私に、水が溢れていることを教えてくれたのです。このように、死角からも届き、傾聴していなくても意識を引きつけるトリガーになるというのは、音の重要な役割だと思います。
ただし、この音だけでは、おそらく何の音なのかわかりません。私には、浴槽に水を貯めはじめてからそれなりに時間が経過したという記憶があり、それを組み合わせて音の正体を理解しました。音が何でもよいわけではありません。よくわからないながらもそれらしい音が、それらしい方向から聴こえてきたからこそ、理解に至ったのです。

音は、言わば情報のピースであり、他の情報と組み合わせることで、価値を発揮する場面が多いと思います。そして、私たち人間は、情報を組み合わせる思考を、ごく自然に、無意識のうちに行っていると思います。そこに意識が向いたことで、人間のおもしろさを再認識しました。

(祐)

アナログがいい

デジタルの波が私たちの暮らしを便利にしてくれました。スマートフォンやタブレットのようなガジェットは欠かせないものになり、それ以前の世界はもはや遠い昔のように感じます。

人々の音楽の聴き方も変わりました。最初は生演奏が唯一の方法でしたが、レコード、カセットテープ、CDがあらわれ、MDなどを経て、デジタルの時代に突入しました。今は音楽をインターネットからダウンロードしたり、定額料金サービスを利用したりするのがメインです。

ところが、その認識で最近の家電量販店を訪れると、実際に目にする現状に驚かされます。遠い過去に姿を消していたはずのレコードプレイヤーやカセットレコーダなどが健在で、逆にラインナップが増えているのではないか。けっきょく自分も、懐かしさなのか好奇心なのか、知らない気持ちに駆られて手をのばし、カセットを再生するレトロなガジェットを買ってしまいました。

人の購買意欲は複雑で、理屈で説明できないことが多いです。「衣食住」の単純なニーズが薄れ、品質と価格、需要と供給といったシンプルな論理が成り立たず、主観や感情がものをいう世に変わりつつあります。ITやソフトウェアの分野でも、単純な品質や精度で説明できない「心に響く力」の秘密を知りたいところですね。

先週は知り合いが参加するアマチュア楽団の演奏会を見に行く途中でこういったことを考えていました。プロには及ばない、多少ぎこちない演奏になるに違いないが、多少ぎこちない演奏になるところがまさにアナログで、魅力的です。やはりアナログがいい。

(桜)

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